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リスティング広告の予算を“ムダに食い潰す” 20項目【前編】

これまでリスティング広告を使っているのに売上が上がらないどころか、赤字を生み続けていて「リスティング広告なんて儲からない」と思っているWeb担当者や経営者を数多く目にしてきました。

そうなってしまう原因は非常にシンプルです。

それは、“パフォーマンスを向上させるためのポイントを知らない”。これに尽きます。

一方で、そうした情報よりもリマーケティング広告がいい、またはリターゲティング広告がいい(リマーケと何が違うの?) 、DSP広告がいいなど、いろんな情報が錯綜しています。

そんな最新機能の使い方よりも、一番の関心事は“リスティング広告にかけた広告費がそれ以上になって戻ってくるか”。これが一番重要になるのではないでしょうか。

本記事では、弊社がこれまで約500社のリスティング広告運用に携わってきた経験から、広告費を無駄使いせずに広告費以上の売上を上げる20のチェックポイントを前編と後編に分けて紹介します。ぜひ参考にしてください。

リスティング広告の予算を“ムダに食い潰す” 20項目【後編】


アカウント設定のチェックポイント

リスティング広告のアカウント設定というのは戦略そのものであり、どこにいくらの広告費を投資するか、を表すものでもあります。

アカウント設定はキーワードや広告文を設定するだけではなく、効果的な測定、上手くいかなかった際の問題点を明確にするために一番重要な要素と言えます。

まずは正しく広告の効果を測定する為に正しいアカウント設定のポイントを知りましょう。


1. 検索とディスプレイは分かれているか

まず気を付けてもらいたいのが、検索連動型広告とディスプレイ広告の設定がしっかり分けられているか、と言う点です。

リスティング広告には、検索キーワードに連動して検索結果に広告表示される検索連動型広告型と、ブログやニュースサイトなどの枠に広告表示されるディスプレイ型の2つのタイプがあります。 



この検索連動型広告とディスプレイ型の広告ではクリック単価も違えば、コンバージョン率も大きく異なります。

実は、GoogleアドワーズもYahoo!プロモーション広告もデフォルトの設定では、検索連動型広告とディスプレイ広告に一律で広告配信されるようになっているのです。

つまり、これを知らずにいると検索連動型広告のみに広告配信したいのに、ディスプレイ広告にも配信されて意図しない広告費が使われてしまう可能性があるので、必ず広告配信する前にチェックしましょう。


Google アドワーズ編


検索連動型広告を配信する際は「検索ネットワークのみ」のキャンペーンを設定。「検索ネットワーク(ディスプレイ ネットワーク対応) - 標準」を設定してしまうと自動でディスプレイ型の広告にも配信されてしまうので注意しましょう。

すでに設定されているキャンペーンがあれば、キャンペーンの設定タブから配信方法が何になっているか確認してみてください。

Yahoo! プロモーション広告編

Yahoo!プロモーション広告の場合は下記をチェックしましょう。
キャンペーン設定情報をクリックするとキャンペーンの設定画面に移動します。するとインタレストマッチ配信の配信比率設定が選択できるようになっています。



ここから予算と掲載条件を選択し、インタレストマッチ配信の設定をなしにします。


「予算を設定せずインタレストマッチ配信を停止する」に設定しておかないと、一定の割合で勝手にインタレストマッチ広告への配信が設定されてしまいます。

ディスプレイ型の広告はもちろん、使い方まで熟知していれば問題ありませんが、ディスプレイ広告を理解していないのであれば、検索連動型から導入する事をオススメします。


2. スマホとPC版の戦略は分かれているか

リスティング広告ではパソコンを使って検索しているユーザーやスマートフォンを使って検索しているユーザーにも広告配信ができます。

しかし、パソコンで検索してくるユーザーとスマートフォンで検索してくるユーザーでは、同じキーワードでもデバイスが異なるだけで大きく検索シーンが異なることや、広告の掲載枠が異なるので、キーワードによってはクリック単価がパソコンよりも高くなることも増えました。

そのため、同じキーワードでもデバイス毎にクリック単価を見直して最適な予算を振り分けていく必要があります。

デバイス毎にパフォーマンスを見る方法

Googleアドワーズであれば分割タブ、Yahoo!プロモーション広告であれば表示タブからデバイス毎に数値が切り分けられ、値を切り分けると下記のように表示されます。


このようにデバイス毎のパフォーマンスデータが確認でき、デバイス毎に適切な単価設定を行い、スマートフォンのパフォーマンスが悪いのであればパソコンよりも単価を下げるなどして対処しましょう。

ちなみに、全体的にスマートフォンからのアクセスの方がコンバージョンレートが低くなる傾向があるので、パソコンの70%~50%ぐらいの価格が妥当でしょう。

具体的なデバイス毎の単価調整の方法は下記です。


Google アドワーズ編

キャンペーンの設定タブからデバイスタブを選択するとデバイス毎に入札単価調整比を設定できます。

「-30%」に設定しておくとパソコンで100円で入札していても、スマホに配信される際には自動で70円に調整してくれます。


Yahoo! プロモーション広告編

Yahoo!プロモーション広告の場合は、キャンペーン設定情報からターゲティング設定に進みます。スマートフォンの入札価格調整率が設定できるので、アドワーズと同様にパソコンの単価を基準にスマートフォンのクリック単価を調整しましょう。


3. 予算設定は最適か

リスティング広告では1日の広告予算を自由に設定できるほか、キャンペーン単位で日毎の予算を設定することも可能です。



この予算設定で注意しなければならない点としては、予算を低く見積もりすぎて、売れるべき時間帯に広告が表示されていない可能性があるということです。


下記のデータを例に見てみましょう。

これはGoogleアドワーズで広告配信した際の時間帯毎のパフォーマンスデータで、深夜の時間帯よりも午前中の時間帯の方がパフォーマンスが高いことが分かります。

このとき、予算を気にするあまり日額の予算を1,000円などに設定すると、その1,000円で全時間帯まんべんなく広告が表示されてしまいます。

結果、最も費用対効果の高い売れる時間帯に広告配信が制限されて、機会損失が生まれるのです。

特にデータが少ない場合は、出来るだけ予算制限をかけずにデータを取り、費用対効果の高い時間帯を見つけて広告配信を集中しましょう。

時間帯の配信設定は下記から可能で、月額広告費が5万以下の広告主はこの機能を活用することをオススメします。

Google アドワーズ編

キャンペーンの設定タブから広告のスケジュールタブに移動、広告配信を行う時間帯を設定します。そのほか、時間帯によってクリック単価を自動で調整することも可能です。

Yahoo! プロモーション広告編

Yahoo!プロモーション広告では、キャンペーンの設定情報からターゲティング設定で広告のスケジュール配信が可能。


時間帯によって広告配信をアクティブにしたり、クリック単価を調整する事ができます。


4. キャンペーン・広告グループは細分化しているか

次がキャンペーン、広告グループの細分化についてです。ちなみに、アカウントの構成は下記のように構築されています。


このキーワード設定で、キャンペーンを細分化せずに思いついたキーワードを一つのキャンペーンに設定してしまう方も少なくありません。キーワード毎にパフォーマンスが変わるリスティング広告では出来る限りキャンペーン、広告グループは細分化をするべきです。


実際に細分化したキャンペーンが並ぶ下記の例を見てみましょう。


このようにキーワードやターゲットによって費用対効果が異なるので、キーワードのカテゴリや商品によってキャンペーンや広告グループは細分化しましょう。

そのほか、キャンペーンを細分化しておくことで問題点がすぐわかるようになり、広告費の無駄を見つけやすくなります。

もし、1つのキャンペーンに広告グループ1つ、キーワードが10個以上設定されているようであれば要注意です。


5. 地域ターゲティングは最適か

地域ターゲティングとは、パソコンのIPアドレスなどを元に特定の地域にいるユーザーのみに広告を表示できる機能です。

例えば、地域ターゲティングを新宿区に設定すれば、新宿区にいるユーザーのみに広告を表示することができます。この機能は、広告費の無駄を削減するという目的以外にも地域毎の費用対効果を分析することにも活用できます。

下記は健康食品のネット通販のアカウントです。地域によってパフォーマンスが全然違うことが分かります。


このように地域ビジネスの場合、ライバル店や競合のクリック単価によって地域毎に勝てる地域・勝てない地域が出てきます。そのため、地域毎に単価調整を行って、地域毎の費用対効果を分析したうえで適切なクリック単価を設定しましょう。


キーワード設定のチェックポイント

キーワード設定は、リスティング広告において非常に重要なポイントです。このキーワード設定は広告主のスキルや考え方で大きく異なり、キーワードの選び方次第でパフォーマンスが大きく変わります。


6. キーワード心理は選定されているか

まず意識しなければならないポイントはキーワードの心理。どの層の顧客を相手にするかを決める重要な指標です。

以下の3つのキーワードを例に考えてみましょう。

  • 決算申告
  • 決算申告代行
  • 中野税理士


もしあなたが税理士で3月にリスティング広告を打つとしたら、どのキーワードが一番見込みが高いと思いますか?


答えは“今すぐ客”であり目的意識のはっきりとしたユーザーに刺さりやすい、「決算申告代行」と言うキーワードです。それ以外のキーワード以外がダメなキーワードと言うわけでありませんが、「決算申告代行」と比べると決算申告を依頼したいという目的以外の検索も多く含まれる可能性があります。



つまり、設定するキーワードは、見込み客以外のユーザーが含まれるキーワードは優先順位が低く、顧客となるユーザーの比率が高いキーワードが高くなるということです。


7. マッチタイプは最適か

リスティング広告のキーワード設定には、いくつかのマッチタイプと呼ばれる設定方法があります。

例えば、「ダイエット方法」というキーワードの設定にしても、「ダイエット方法 人気」や「ダイエット流行り 方法」など、ユーザーの検索キーワードは様々。手動の設定でそれらすべてに広告表示するのは理論的に難しいため、マッチタイプを活用する必要があります。

一般的に使われる「部分一致」というマッチタイプは、関連性の高い検索ワードに自動で広告表示してくれるようになり、先ほどの「ダイエット方法」であれば、「ダイエット方法 人気」や「ダイエット流行り 方法」という複合ワードはもちろんのこと、「痩せる方法」などの違うワードでも同じ意味であれば広告表示してくれます。



便利な半面、このマッチタイプの概念を知らずに、「ダイエット」などのビッグキーワードなどを部分一致で設定してしまうと様々なキーワードに広告表示がされ、狙ったキーワード以外で広告費を使うことにもなりかねません。

だからこそ、マッチタイプの概念を理解し、フレーズ一致や完全一致を使って、広告表示をコントロールしましょう。

8. 検索クエリで想定通りのキーワードからクリックされているか

マッチタイプの中でも完全一致とフレーズ一致だけでは十分にアクセスが集まらないというシーンも少なくありません。そのため、売れるキーワードを見つける、機会損失をなくすといった意味で部分一致を設定する場合もあるでしょう。

部分一致で設定したときに、必ずチェックしてほしい指標が検索クエリです。検索クエリを見ると、部分一致で設定したキーワード、もしくはフレーズ一致など、広告がクリックされた検索ワードが表示されます。

つまり、どのキーワードで広告表示がされ、クリックされたかが分かる機能です。

Google アドワーズ編


Yahoo! プロモーション広告編

上記の箇所から実際に広告クリックに繋がった検索クエリが見えるので、部分一致でキーワードを設定した場合は必ずチェックしましょう。


9. ニッチワード、複合キーワードは設定されているか

検索ボリュームの少ない複合キーワードやニッチワードを軽視する広告主も少なくありません。

しかし、リスティング広告はこのニッチなキーワード、検索ボリュームが少なくてもCVRの高いキーワードをいかに設定できるかがポイントなのです。

下記のデータを見てみましょう。



このようなキーワードがあった場合、広告費を多く使っている「キーワードB、F」に注目しがちですが、「キーワードG、H、I」といったあまりクリックされていなくても、CPAの良い複合ワードやニッチなキーワードを如何に増やせるか、がアカウントの平均点を良くするためには重要な要素になってくるのです。

CPAの良いキーワードをアカウントに増やすだけで費用対効果の悪いキーワードがあっても、アカウント全体で見た時に採算が合うようになってくるはずです。


その他の設定編

最後に、その他の設定方法や考え方について話の幅を広げて解説したいと思います。


10. 複数の媒体を使っているか

リスティング広告は主にGoogleアドワーズやYahoo!プロモーション広告の2つが一般的ですが、クリック課金型広告という意味では他にもあり、DSP広告やFacebook広告もクリック課金型の広告です。

もし媒体を1つしか使っていないのであれば、複数の媒体を使う事で広告の表示機会を増やし、より多くの見込み客にアプローチすることを検討してはいかがでしょうか。

例えば、リスティング広告で上手くいった広告を他の媒体へ流用してみるのもいいでしょう。


11. コンバージョンタグは設置・計測できているか

店舗系の集客を行う場合にコンバージョンが電話か来店といった形のため、全くコンバージョンを取っていないという場合が多いです。

正確にコンバージョンが計測出来ないからと言って、コンバージョンを設定しないのはリスティング広告の特徴を生かせないので必ず設定するようにしましょう。

特に最近ではスマートフォンからの電話のコンバージョンが取れるため、電話注文の多いビジネスは、必ず設定する事をオススメします。

しかし、誤操作も多いので電話コンバージョンを計測する際は、実数のコンバージョン件数は管理画面上の3割~5割と考えると良いでしょう。

※サイト内にある電話の発信ボタンをクリックするとコンバージョン計測される仕組み。電話番号のソースにタグを記述する必要があります。

そのほか、割引券印刷のページにコンバージョンタグを設定し、電話申込みをしてくるユーザーには、お申込みの注意点と言うページを用意して申込完了時にそのページを電話で誘導して表示させても良いでしょう。

とにかくリスティング広告では反応のあるキーワードが分かるようにしておくことが、費用対効果の高い運用を行う上での必須条件です。


12. 目標CPAとLTVは明確か

リスティング広告で設定している目標CPAは明確なのか、妥当な数値なのかを考えてみましょう。もし、目標 CPA3,000円に設定している傍らで同じ商品を扱うライバル広告主がCPA9,000円に設定していたら必ずライバル広告主に負ける事になります。

なぜなら、ライバル広告主は、クリック単価の高いキーワードにも広告を掲載できますし、CPAが高くても良いので、単価をどんどん釣り上げてくる可能性があります。

だからこそ、リスティング広告では可能な限りCPAを高く設定しましょう。そして、高いCPAでも生き残れるマーケティングプランを作っておくことが継続してリスティング広告で成果を上げていく為の戦略の一つです。

仮に、現状はリスティング広告でかかる広告費を差し引いても十分に利益が残る状況であったとしてもそのような状況は長くは続かないでしょう。

なぜなら、商品の売値から広告費を差し引いても利益が残る、要するに広告に出せば儲かる市場は簡単にマネされて競合が入ってくるリスクがあるからです。

そうなればCPAが高騰し、リスティング広告だけでは利益が出なくなるのも時間の問題でしょう。だからこそリピートを促進し、LTVを高める事が重要になってきます。

つまり、リスティング広告ではLTVを高め、初回のCPAを高くすることで顧客リストを構築し、リピートやアップセル、クロスセルで売上を如何に上げられるかが長期的な成功の分かれ目なのです。


まとめ

ここまで、アカウント設定・キーワード設定・その他の設定について、広告費をムダにしないためのチェック項目をご紹介してきました。

後編では単価設定・広告文について、おなじく広告予算を最大化するためにチェックすべきポイントをお送りします。ぜひ参考にしてください。


長橋 真吾

長橋 真吾

株式会社リスティングプラス 代表取締役社長 1984年、長野県生まれ。2007年に日本体育大学を卒業後、情報通信系商社に入社し、営業を担当。その後、Webマーケティング会社を経て、治療院に特化したネット集客支援サービスを手がけるWebコンサルティング会社に入社。リスティング広告のノウハウを学ぶ。2011年に株式会社リスティングプラスを設立し、代表取締役社長に就任。中小企業様を対象にコンサルティング会員は累計3000名超え、年間100社以上の企業のウェブ集客を支援している。

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