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今さら聞けない「リスティング広告の最適予算」の決め方

リスティング広告の運用で大切なこと......あなたは、本当に理解していますか?


キーワード選定? アカウント構成? 予算設定?

 

もちろん全て大切な要素です。しかし、運用担当者が最も意識しなければならないのは、「運用を続けながら最適化」することです。

 

なぜなら、リスティング広告は市場や競合の動向によって成果が変動しやすいからです。一度決めたものを出稿しつづけるのではなく、常に改善し続けなければなりません。

 

前回、リスティング広告で効果が出ない要因について多面的に触れてきました。今回は「予算」に焦点を絞り、運用し続ける上で考えなければならない「予算の決め方」を解説します。

 

▽前回の記事はこちら▽

今さら聞けないリスティング広告で効果が出ない要因5選



最初に予算を決めるのはNG!なぜ最適化が必要なのか

 

冒頭でも述べた通り、リスティング広告は運用型広告という「常に出稿の状態をコントロールできる」のが特徴の広告です。買い切り型の広告と異なり、1度出稿したら同じ場所に掲載され続けるわけではありません。

 

競合他社は常に市場の変化に合わせてキーワードを入札するため、予算にも変動が起こります。

 

そのため、リスティング広告の予算を運用当初から決めきってしまうと、上記の変化への対応が難しくなります。最初から予算を決めてしまうのではなく、戦略的に予算を決めることが大切です。

 

広告の掲載順位にはキーワードあたりの入札単価だけでなく、品質スコア(インデックス)も影響します。しかし、“予算のコントロール”も広告の掲載順位に大きく影響するため重要な要素となります。

 

「予算の決め方」の基本となる公式はたった1つ

 

リスティング広告の予算は変動することを前提として戦略的に決めることが大切、という話をしてきました。では、具体的にどのように予算を決めていけば良いのでしょうか。

 

その基本となる公式が以下です。

予算=目標CPA×目標CV数


この式をもとに、自社が目標とするコンバージョン(以下、CV)1件あたりの費用(CPA)に出稿した広告から獲得したいCV数を掛けることで最適な予算を導き出すことができます。


目標とするCPAを目安として立て、出稿の状況に応じて公式の「目標CPA」の値を調整することで柔軟に計算できるからです。

 

あらかじめCPAとCV数の目標値を定めておき、キーワード入札単価や実際のCV数の変動に合わせて柔軟に調整することで「投下予算15万円と決め、投下したけれどCVが3件しか発生しなかったためCPAが5万円になってしまった」というような状況を防ぐことができます。

 

また、目標CPAの求め方は複数あります。商材の性質によって目標CPAの出し方が異なります。次に、商材別に目標CPAと予算の算出方法を紹介します。

 

今更聞けないリスティング広告の目標CPAと予算の決め方

 

1. 特定の商材の「粗利」から予算を設定する

特定の商材(またはサービス)しか販売していない、あるいは数ある中でも特定の商材の売上アップに注力したいという企業であれば、「商品の粗利」から目標CPAを求めてみましょう。


目標CPA=価格×粗利率


例えば、10,000円の商品で粗利率が15%であれば、目標CPAは1,500円です。そして、リスティング広告から50件の販売を目指すのであれば、目標CV数は50となります。それを元に予算の公式に当てはめて計算すると、以下のようになります。


1,500円(目標CPA)× 50(目標CV数)= 75,000円(予算)

 

この予算の決め方は、“特定の商材の粗利”から算出する方法であるため、利幅は考慮していません。そのため、この目標CPAは絶対ではなく、あくまで運用開始時の“基準”という認識で運用を行いながら最適なCPAを見つけてみましょう。

 

2. 商材の「利幅」を考慮して予算を設定する

  セレクトショップのように商品ごとに価格の幅がある商材を扱っているネットショップや、食品販売のように1度で複数個の購入のある商材をリスティング広告経由で販売したい場合は、「利幅」から目標CPAを求めます。利幅は、平均購買価格と平均粗利率を用いて計算してみましょう。


目標CPA = 平均購買価格 × 平均粗利率


例えば、1人あたりの平均購買価格が8,500円で、平均粗利率が20%だったとします。すると、目標CPAは1,700円になります。そして、リスティング広告からの50件のCVを目標にしたと仮定します。すると、以下のようになります。


1,700円(目標CPA)× 50(目標CV数)= 85,000円(予算)


特に製造や仕入に費用の掛かる小売系のビジネスはサービス業と比べて商材のバリエーションが増えるほど購買価格や粗利率に幅が生じます。そのため、それぞれの平均値をベース目標CPAに設定し、運用しながら最適なCPAに調整していきましょう。


3. リピート率の高い商材は「LTV」から予算を設定する

美容や健康に関する商材や継続課金モデルのWebサービスなど、「リピート商材」と呼ばれる商材をリスティング広告経由で販売する場合、「LTV(ライフタイムバリュー)」から目標CPAを求めます。LTVとは、顧客が初めて購入したときから最後に購入するまでの期間にもたらす利益のことです。LTVは以下のように算出します。


LTV = 初回売上 + 2回目以降の売上 × リピート回数
 

10,000円のWebサービスに対し、月に1度の支払い(リピート回数)を1年間継続すると仮定した場合のLTVは、130,000円です。

 

LTVから目標CPAを求めるための計算は以下のとおりです。

 
目標CPA = LTV × 粗利率
 

LTVが130,000円、粗利率が10%だと仮定すると目標CPAは13,000円です。そして、リスティング広告から50件のCVを目標値とすると、以下のようになります。


13,000円(目標CPA)× 50(目標CV数)= 650,000(予算)


1年間の予算が65万円と聞くと、非常に高額に感じるかもしれません。しかし、LTVを考慮し、1年間の間にユーザーが継続してサービスを利用してくれることを前提に設定されています。

 


1度の契約獲得で継続的に利益をもたらすリピート商材であれば、長期的に運用し目標CPAに達することができれば上記の予算から黒字化を実現できます。

 

参考:ライフタイムバリュー(LTV)とは、顧客が企業にもたらす総合的な価値



“継続利用が狙える商材”なら、LTVを考慮した予算設定を


リスティング広告で大切なのは、市場や競合他社の動向を分析しながら出稿の状況をコントロールすることです。上記で紹介した計算方法から目標CPAを算出し、その目標値に近づけるようにキーワード選定やキャンペーン作成をします。

 

1年以上の長期的な運用を前提としている企業であれば、LTVを元にした予算設定をオススメします。解約率や成約率など変動要因が生じるため、半年ないし1年ほどの期間で区切り、予算を都度見直しましょう。

 

LTVによる予算の設定方法は、その他の算出方法と比べて1CVに対する利益が少なく感じることもあるかもしれません。しかし、その1CVがリピートを生み、継続的な利益をもたらすことを考えれば結果として大きな利益に繋がります。

 

また、LTVから予算を決めた場合、その他の計算方法と比べて目標CPAが高い傾向があります。そのため、入札単価の高額な定番キーワードや検索ボリュームの大きいキーワードを戦略的に用いることができます。

 

リピート率が不確かな運用当初のうちは、粗利や利幅を軸に「予算の基準」を作り、期間とそれに伴う成果を分析できる段階に達したらLTVによる予算を設定しましょう。



まとめ:「目標CPAから予算を決める」が鉄則

 

リスティング広告の予算は「目標CPA×目標CV数=予算」という簡単な公式から求められます。目標CPAをどのように決定するかは、商材の特性や運用段階によって変動します。

 

リスティング広告予算を固定して運用を始めてしまうと、「競合他社の参入によるキーワード入札単価の上昇」のような想定外のCPAの変動へ対応しづらくなります。一方で、目標CPAから予算を算出することで、出稿の状況に応じて予算配分をコントロールしやすくなります。

 

また、最後で触れたとおり、月額課金制の商材に限らず月間・年間を通して複数回の購入が見込める商材であれば、LTVから予算設定ができます。商材の特性や市場、競合の動きを考慮しましょう。


臼杵 優

臼杵 優

ferret エディター/ライター ビジネスやテクノロジーなど様々なWebメディアでの編集・執筆を経験。また、メディアでの執筆だけでなく、メーカーでのコンテンツ支援を担当した経験からマーケティングの重要性を感じ、ferretにて執筆開始。

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